知っ得情報16

「配偶者居住権を今から遺言で書いておいて良いのか」と
疑問に思っていた。調べたら2020年4月1日から施行
されるので、その前に遺言で記載しても適用されないと
分かった。記載がないのと同じ扱いになる。

配偶者居住権は使用権であり、賃貸や売買はできない。
1番のメリットは所有権と使用権を別々の人に分けられること。
例えば、それぞれ子供がいるもの同士が再婚した場合に
奥さんに居住権を確保しつつ、自宅建物の所有権を子供に
取得させる遺言もできる。

結婚期間が20年を超えて居住している不動産を妻に
贈与した場合は、居住不動産は相続財産に入れずに
相続分の計算ができるので建物を売らずに分配できる。
これで奥さんが住む家がなくなるという問題は解消される。

ただ、2020年4月1日前に夫が死亡しても遺産分割が4月1日
以降の場合は旧法が適用されるので注意が必要だ。

 

若葉に悩みなし

知っ得情報 遺産分割から住居を排除

婚姻期間が20年以上の夫婦のどちらかが死亡した場合(便宜夫死亡)、
妻に贈与された住居は遺産分割の対象とならないという
試案を法制審議会がまとめた。

現行法では住居も相続人で分け合う遺産に入り、住居を売却して妻が
住むところを失うケースがあり、問題となっている。

妻が高齢者の場合、大家さんが貸してくれないことが多く、部屋探しに
苦労した話をよく聞く。

遺産分割の対象にならないためには条件がある。
①婚姻期間が20年以上
②妻に贈与の意思をしておくこと
施行されれば、画期的だ。この試案の行方を見守りたい。

この条件によく似たものに、20年以上連れ添った妻が贈与を受けた場合
2000万円までの居住財産は非課税になる特例がある。
この他にも相続税がかからない特例がいくつかある。

土地の評価を8割減らす方法もある。
詳しくはひぐち法務事務所までお問い合わせください。

法定相続情報証明一覧図の写しとは?(2)

法定相続情報証明一覧図の交付を受けた。
亡くなられた方の出生から死亡までと相続人全員の戸籍謄本の一式は
事例によって異なるが10通前後が一般的だ。この戸籍謄本一式に代わる
法定相続情報証明一覧図はたった1枚である。

たった1枚なので「偽造の心配はないのか」とお客様から問い合わせがある。
コピーすると左側の中央に「COPY」という文字が浮かび上がるので
偽造の心配はない。住民票や印鑑証明書と同じ偽造防止措置がある。

「銀行から法定相続情報証明一覧図のコピーではダメと言われました」
と問い合わせもある。
「コピーをせず、登記所から交付されたものをそのまま提出してください」
と答えて『写し』の意味を説明した。

原本は登記所に保管されているので登記所の窓口に交付されるのが『写し』
と扱われるのだ。
銀行の提出書類に「法定相続情報証明一覧図の写し」とあるが、
これはコピーの意味でないので注意が必要だ。

銀行や株券の名義書換などの書類の取り寄せの手続きは銀行や信託銀行に
よって違っている。提出書類も様式や種類が異なっている。

仕事で時間のない人は当事務所で銀行や株券の名義書換のお手伝いも
しています。お気軽にお問い合わせください。

 

 

法定相続情報証明一覧図(1)

先週、初めて法定相続情報証明一覧図の申請をした。
1番に感じたのは原本還付の手続きが今までと違っていること。
2番目は相続関係説明図より記載が簡略にできること。

メリットは法定相続情報証明一覧図を複数交付してもらえるので
相続登記と並行して、銀行や株券の名義書換ができることだ。
同時に複数の手続きができるので時間の短縮になるし、
銀行側の戸籍謄本等の審査の時間も短縮できる。

また遺言書の検認手続きの際は家庭裁判所に戸籍謄本等を提出するが、
これも法定相続情報証明一覧図に代えることができるとの回答を得た。

来週はいよいよ法定相続情報証明一覧図が交付される。
次回のブログで詳細をお知らせしたいと思っている。

詳しく知りたい方は気軽にひぐち法務事務所に
お問い合わせください。

 

 

 

知っ得情報12 新制度が明日からスタート!

知っ得情報9でお知らせした法定相続情報証明制度がいよいよ明日(5月29日)から
スタートする。背景には相続登記の放置で所有者不明の土地や空き家対策及び銀行の
払い戻しの担当者の負担軽減等がある。

申出人は相続人である。代理人となれるのは法定代理人、民法上の親族及び有資格者
(行政書士、司法書士、弁護士等)である。

申し出る登記所は亡くなった方の本籍地か最後の住所地等又は不動産所在地を管轄する
登記所である。必要書類は戸籍、除籍謄本等と法定相続情報一覧図である。

この申出があると登記所から「被相続人山田太郎法定相続情報」が交付される。
これは偽造防止措置の施された専用紙で作成される。

この法定相続情報が交付されるのは1週間位といわれている。
ただ、相続登記をする前に法定相続情報を取得するのに2回登記所に
出向くことになる。

登記官も戸籍、除籍謄本等の審査をしなくて済むようになるので相続登記が
完了するのが短縮されることを期待したい。

まだ新しい制度なのでご不明な点が多いことと思います。
詳細はひぐち法務事務所まで気軽にお問合せください。

 

知っ得情報11 勘違いが多い年金分割

去年、年金分割に関する業務の依頼を受けた。
離婚する際に夫婦の年金を分割できるようになって今年で10年になる。
このことは離婚しようと考えている人は大体知っている。
ところが、具体的にいろいろ聞いてみると勘違いしていることが多い。

1番多いのは夫の年金全部を分割できると思っていることだ。
分割できるのは厚生年金のみ。夫が自営業なら厚生年金がないので
分割する年金はない。夫婦共働きで妻の収入が多いときは、
妻の厚生年金を分割することになる。

2番目に多いのは離婚届けを出したら自動的に年金が分割されると
思っていることである。離婚届けを出しても離婚から2年以内に
年金事務所に請求しなければならない。
また、調停で離婚しても年金事務所に請求する必要がある。

3番目は年金分割した分は離婚後すぐもらえると思っていることだ。
年金の受給が始まる年齢にならないと年金としてもらえない。
それまでは現金化できず、離婚後の生活費に充てることはできない。

知らなかったり忘れていたりで、離婚後2年以内に請求しなかった場合でも
「ひぐち法務事務所」はご相談に乗ります。
まずは気軽にご一報ください。

知っ得情報10 戸籍謄本は最寄りの区役所でとりたい!

本籍と住所が一致している人は少ない。引越ししても本籍はそのままにしておく人が
多いからだ。この時、いざ戸籍謄本をとろうとすると郵送で請求しなければならない。

先週、「戸籍謄本を郵送でとるのは面倒なので、住所地で戸籍謄本をとるようにしたいけど
どうすればいいの」と聞かれた。

戸籍謄本を郵送で取り寄せるには、戸籍謄本請求書の他に手数料として小為替と
返信用封筒が必要である。身分証明書が必要になることもある。
小為替は郵便局で買わなければならない。
返信封筒には切手を貼っておかなければならない。

業務で戸籍謄本を郵送で頻繫にとっているので、結構手間がかかるのはよくわかる。
そこで転籍(本籍を移す)の手続きについて「知っ得情報!」
これは知っておくと便利。

①転籍届提出 戸籍謄本と印鑑を持参(提出先は新本籍の方が早くできる)
②転籍届に戸籍の筆頭者と配偶者が署名、押印する
③予め上記の2人の署名、押印があれば、2人揃って窓口に行かなくてよい
④手数料はかからない
⑤新しい本籍は住所と同じでなくてよい。但し、土地登記簿にある土地や住居表示されて
 いるところに限る。例えば海はNG。
 ちなみに皇居のある場所を本籍にする人も多いようだ。
 「東京都千代田区千代田1番」となる。

念のため、転籍しても相続・遺言などは出生から現在までの戸籍謄本をつなげる場合は、
やはり前の戸籍謄本も必要になる。

もっと詳しく知りたい方は、お気軽にひぐち法務事務所へご相談ください。

知っ得情報9 相続時の銀行口座名義変更が簡単になる!

5月下旬からから相続手続きを簡素化する「法定相続情報証明制度」が開始する。
相続人が不動産の変更手続きに必要な戸籍関係書類一式を登記所で1枚の証明書に
まとめるものだ。

現行制度では、遺産相続で不動産の名義変更や相続税申告、銀行口座の名義変更や
解約、自動車の名義変更などをする際、窓口ごとに死亡した被相続人の出生以降の
全戸籍謄本と配偶者や子供などの全相続人の戸籍抄本が必要である。

これらの戸籍関係書類は手続きによっては返還されないものがあるので、
発行手数料もかかり、相続人の負担になっている。

新制度では、全国の登記所に戸籍関係書類一式を提出すると
「法定相続情報一覧図」の写しが発行される。この写し1枚あれば
複数の不動産があるときは、他管轄の登記所に相続登記申請するときは
添付書面である戸籍関係書類一式を省略できる。この写しの手数料は無料!

 

銀行口座名義変更や解約に利用できるかは今のところは未定。
また公証役場に利用できるかも検討中だと聞く。
この「法定相続情報一覧図」の写しが公証役場に利用できれば
遺言も手軽にできるようになる。

ひぐち法務事務所では「法定相続情報証明制度」を見守り銀行や
公証役場に利用可能となったらすぐに情報発信していきたい。

 

花冷えで我が家の庭の花も長く咲いている

 

 

知っ得情報8 介護している人は仕事辞めないで!

介護している人は仕事辞めないで!
親など家族の世話をしなければという思いは誰にでもある。
でも、思ったより再就職はなかなかできないのが現状だ。
雇用形態が変わり、正社員採用が大幅に減少しているからだ。

今年1月1日から改正育児・介護休業法が施行された。妊娠・出産・育児期や家族の介護が
必要な時期に、男女共に離職することなく働き続けることができるよう、仕事と家庭が両立
できる社会の実現を目指し、雇用環境を整備することを目的としている。

介護に関して主な改正点は次の通りである。
①対象家族1人につき、3回を上限として、通算93日まで介護休業を分割取得できる。
②介護休暇は半日単位で取得できる。
③所定労働時間の短縮措置等を介護休業とは別に、利用開始から3年の間で
 2回以上利用できる。
④対象家族1人につき介護の必要がなくなるまで、残業の免除が受けられる。
⑤対象家族は同居・扶養していない祖父母・兄弟姉妹及び孫も追加された。
⑥上司・同僚などによる就業環境を害する行為を防止するため、雇用管理上
 必要な措置を事業主に義務付けた。

高齢者は少しの体調の変化で肺炎などになりやすく、ずーっと付き添っていたい。
しかし、介護年数や入院費用は予測が立たないので、介護離職時に2000万円位の
貯金があっても、再就職は難しくホームレスになってしまう人もいるという。

介護される側も介護する側も「痛み分け」を考えるときにきている。
ショートステイや特別養護老人ホームなどを利用して、
介護する人は仕事を辞めないことが重要だ。
仕事を持っていると職場で気もまぎれストレスを発散できる。
介護に専念している時より精神的にもよい結果が出ているそうだ。

 

仕事辞めないで!
応援しているよー!

 

知っ得情報7 相続で欲張ると・・バチが当たる!

先週読んだ小説の話。85歳のAさんには二人の子供がいて、
長男が59歳、長女が57歳である。長男は事業の成功を夢見て
アメリカに行ったきりで、15年以上家に帰って来ない。
そこで、長女が長年Aさんの世話をしてきた。

Aさんは老衰から食欲がなくなってきた。それを聞き長男が日本に帰ってきた。
まもなくAさんは胃瘻にし、その後肺炎を繰り返し体重も減り
一回り小さくなり亡くなった。

胃瘻の頃から長男は仏壇に高価な仏具を買いだした。全て純金で出来ている。
1億円近くあったAさんの預金が純金の仏具に使われたのだ。
兄は「オレが墓と仏壇を守っていく」と妹に言った。

お墓と仏具などは祭祀財産で相続の対象にならないのである。
言うまでもなく純金の仏具は兄のものになった。

ところが、偶然にもAさんが胃瘻の手術を受ける前に、「お食い納め」で
食べやすく作った小さい寿司を食べているビデオに重大な一言が
残っていた。
「さっちゃん(長女)、今日は本当にありがとう。もう思い残すことないわ。
あとは、ご先祖様のお墓とお父様のお位牌も、あなたに頼むわね」

これは祭祀承継者の指定にあたる。相続財産の指定と違って祭祀承継は
口頭でできる。かくして、欲張った兄は純金の仏具は手に入れられ
なかったのである。

相続はありふれた日常で思わないところでモメめることが多い。
一人で悩まず一度気軽にご相談ください。きっと納得の
いく良い解決方法が見つかります。