テレビ「バイキング」生放送スタジオの裏話

8月4日フジテレビ「バイキングーがんを克服した人々」に私の夫が出演。
そよごの会のメンバーや知人から「テレビ見たよ!」というメールがたくさん
届いた。一部紹介。
「バラエティー番組だけど真面目に伝えてくれて良かった」
「今は、医療が発達していて『がんは怖くない、死なない』という人が多くなって
いるけど、怖いということも伝わってよかったと思う」などなど。

私は夫の「付き人」として、スタジオで番組制作と放送を見守った。110分全国
ネットの生放送で、「がんを克服する」をテーマに取り上げて制作する番組スタッフ
の方々の真剣な取り組み姿勢に感動した。

スタッフ全員が前の晩は泊まり込みで、ディレクターさんは寝ていないらしい。
朝8時半から直前に完成した放送台本で打ち合わせが始まる。9時から順次
リハーサルに入る。夫を担当するスタッフがピンマイクをつけにくる。6台の
カメラが各画面の位置を決める。夫の姿をとらえるカメラが背の高さに合わせて
カメラ位置を決めている。15分前にはスタジオ見学者が入って担当ディレクターさんが
お願いごとを伝える。10分前になると、麻木久仁子さんや夫などの特別ゲストがスタジオ
入りする。5分前にMC の坂上さん、後藤さん、薬丸さんなどレギュラー陣が入って
全ての準備が完了する。11時55分の生放送本番を迎える体制が整った。

本番50秒前からディレクターさんの大きな声がスタジオ内に響き渡る。
「生放送本番40秒前、今日も皆さんよろしくお願いします」
モニターの大画面に数字が映し出される。6台のカメラが一斉に前にせり出す。
「30秒前、20・・・」と大声でカウントし、10秒前から30人位のスタッフが
全員で「9,8,7,6、5秒前」カウントダウンする。関係者の心を一つにする
ノウハウなのだ。スタジオに緊張が走る。
「4,3,2・・」大きなモニターの画面がMC3人に切り替わる。
「さあ、バイキング、始まりました」
坂上さんの第一声。全国ネットの生放送の映像がお台場のこのスタジオから送られている。
もう止められない。

コマーシャルの時間ごとに、出演者全員に個人の名前が書かれたペットボトルが配られる。
進行の時間調整やカットする箇所が伝えられる。フリップを出すスタッフは瞬時にその
内容を変更する。実はコマーシャルの時間が裏では短い制限時間内の戦場なのだ。

生番組なので台本も後半になればどうしても時間がなくなり内容も大幅に書き換えられる。
夫の出番は最後の枠なので持ち時間は予定の半分ほどに縮まった。小噺も短縮の指示。
カンペも「短く!」と言ってる。周りも心配顔だ。私もハラハラしてくる。
夫は緊急変更の指示通りに要点を絞って熱く話した。小噺もピッタリ30秒にまとめた。
最初から続いていた重苦しいスタジオの空気が大爆笑に変わった。坂上さんや杉本彩さんの
深刻な表情が素敵な笑顔になった。
「終了でーす!お疲れ様でした!」

こうして全国ネットの生放送はあっという間に110分を駆け抜けた。出演者とたくさんの
スタッフの気持ちが一つになって出来上がった作品であり、質の高い内容となった。
そのことをスタジオにいて肌で感じた。

2人に1人が「がん」になる時代。肺小細胞がんで20年生きているのは日本では夫だけ
だそうだ。しかし、一番伝えたいことは、がんは治るということにとどまらず、その先に
ある「新しいいのちをどう生きるのか」だと思う。

これまでのテレビドラマでは、がんを扱った内容ではがん患者が死ぬストーリーが大半だ。
そろそろドラマも、がんに出会ってく輝くいのちを掴んだがん本人や家族をテーマにして
ほしい。今回の放送は、そのきっかけになる意義深い内容であった。

バイキング
本番直前のスタジオ風景