知っ得情報 その6 預貯金も遺産分割の対象に!

先日、預貯金も遺産分割の対象になるという判例を変更する最高裁の判決があった。
過去の判例は、預貯金は不動産や株式などの他の財産とは関係なく、法定相続の割合に
応じ、相続人に振り分けるとしてきた。

この判決で争われた事案を例にとると特定の遺族に多額の生前贈与(例えば金5000万円)があった場合、変更前では生前贈与を考慮せず、現在ある金4000万円を兄弟2人の法定相続分に従って半分の金2000万円ずつ分けることになり兄弟間に不公平感が残る。

新しい判例によれば、「兄は土地と古い建物、弟は預金全額」などとでき、相続人同志の
実質的な公平を図ることができる。又、相続人の一部が親の家に住んでいる場合、
相続財産が親の家のみと預貯金場合で、預貯金のみでは相続人間に振り分けるに足りない
ときはの家の売却代金で共同相続人に振り分けざるを得なくなる。こういうケースの場合、
子供世代が60~70歳代であると家を貸してくれる不動屋さんが少ないので、相続で
モメルことが多かったが、これからは親の家を売却せずに引き続き相続人が住めるように
相続人間で円満に解決する例が増えると思う。

問題点もある。判例変更により死亡直後に遺族が故人の預金を引き出す場合に
影響がありそうだ。金融機関により対応が違っているが、これまでの判例では
預貯金は遺産分割をしなくても、自分の法定相続分を引き出すことが可能だった。

しかし、判例変更によりこの個別の引き出しが難しくなる可能性がでてきた。
これから実務の取り扱いがどう変わっていくのか注意が必要だ。
困ったり、分からなくなったときは遠慮せず相談してほしい。
当事務所にて毎月第2火曜日に無料相談会実施中!。

 

知っ得情報 その5 遺言は最強!

相続が開始し、数人の相続人が法律通りでない相続分をもらうことになった場合を
考えてみよう。

この場合は、相続人全員で相続財産分割協議をしてその旨を書面に記載して
署名押印する。そして、遺産分割協議が真正に作成されたことを証明するため、
実印を押印し、さらに印鑑証明書も添付する必要がある。

ところが、遺言があれば法定相続分の多少にかかわらず相続人の承認も
印鑑証明書も不要である。それは、法定相続より遺言が優位であるからである。
遺言は作成する段階でハードルが高く感じるかもしれないが、相続が開始したら
土地・建物や銀行預金の名義書き換えなどがスムーズに行える。
「遺言は法律よりも強い」。こんなに最強のものをもっと利用してほしい。

「遺言」は「遺書」とは違う。遺書は「死」がつきまとうが、遺言は相続人の負担を
減らし、もめ事が起きないようにする最も有効なリスク回避策でもある。
むしろ身体も心も元気なときに書いた方が的確な判断で作成できる利点がある。

遺言は自身の人生の集大成でもある。遺言書セミナーで「遺言を書く講座」のときは
皆さん楽しそうだった。「わかった。そのうちに」でなく「そうだ、今書こう!」
の気持ちで先送りしないことである。

実際、遺言書を書いてみると「思ったより簡単」の声が多かった。
当事務所では毎月第2火曜日に無料法律相談会を開催している。
最近、「遺言の書き方を教えてください」という人が多くなった。

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知っ得情報 その4 住民票と印鑑証明書

先日、仕事中に住民票の住所と印鑑証明書の住所が一致していないケースがあった。
住民票の住所はマンションの戸数が20に満たない場合には、マンション名と
部屋番号を書かなければならないらしい。戸数が20以上あるマンションは
部屋番号までが住所として扱われる。

ところが、印鑑証明書は任意に肩書を書いて良いとのこと。この肩書があると
住民票の住所と印鑑証明書の住所に不一致が生じる。

市区町村によって扱いがことなるところもある。印鑑証明書を作成するときは
住民票の住所を端末のデーターとして作成するため住民票と印鑑証明書の住所は
一致する。不一致は考えられないという。

不動産売買で不動産登記簿に所有者として記載される場合や遺言・車庫証明など
身近なところで印鑑証明書が使われる。混乱が生じないように住民票と
印鑑証明書の住所を一致させておくことが望ましい。

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知っ得情報 その3 マナー違反が法律違反に!

普段の暮らしの中で、思わぬことで法律違反になるというものがある。
例えば釣り銭詐欺である。釣り銭が多いのを知りながらそのまま黙って財布に
入れてそのままにした場合である。これは刑法246条第2項の「財産上不法の
利益を得た者」にあたり詐欺罪に処せられるおそれがある。

また家族に届いた手紙を開封するのは刑法133条信書開封罪にあたる。
しかし、信書開封罪は親告罪なので告訴が必要。家族間で告訴をすることは
あまりないのでこの罪に問われることはめったにない。

先日、新聞でマナー違反と思えるのが法律違反になると掲載されていた。
指定日以外の日にゴミを出すのは廃棄物処理法16条の「何人も、みだりに
廃棄物を捨ててはならない」にあたる。指定日前夜にゴミを出しているのを
見かけることがあるが、町内会のルール違反にとどまらないのだ。

道路や駅など公共の場所で、公衆の列に割り込み、もしくはその列を乱した場合は
軽犯罪法1条13号の行列割り込みの罪に問われることもあるという。
タクシーを待つ行列、演劇のチケットを買う行列、電車の切符を買う行列や
入場を待つ行列に割り込むのも同罪だ。
会社の不祥事でコンプライアンス(法令順守)が厳しく問われるようになって
きたが、私たち個人にもマナーやコンプライアンスが問われている。

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知っ得情報 その2-公正証書

公正証書原案作成に携わっていると、公正証書に対する認識が一部だけになっている人が
多い。メリットがたくさんあるのでぜひ活用してほしいと思う。

「公正証書とは『○○書面』を公に証明してくれるもの」というのは大抵の人は知っている。
他にメリットは公正証書の原本を公証役場で保管してくれることである。
手元にある謄本を失くしても安心である。

しかし、裁判に訴えなくてもすぐ強制執行できることを知らない人が意外と多い。
例えば、お金を貸して約束の日までに返してもらえないことがある。こういう時は
内容証明郵便で催促しておくとよい。催告にあたり貸金返還請求権の消滅時効の
進行を6か月止めておける。

どうしても返してくれない相手には裁判で訴えることになる。裁判で勝ってから
執行裁判所に強制執行の申し立てをすることになる。

ここで、知っ得情報!
お金の貸し借りを公正証書にしておくと相手がお金を返してくれない場合、裁判に
訴えなくても、いきなり執行裁判所に強制執行申し立てができる。
ここが、1番のメリットだと思う。裁判には費用がかかるだけでなく長い期間を
要するし、精神的なストレスは予想以上に大きい。

お金を返してくれない人はあちこちで借金していることが多い。既に他の債権者が
強制執行申し立てをしている場合、複数の債権者に配当することになるが、
公正証書を持っていると配当要求もできる。ここで弁済してもらえることになる。
公正証書をもっと身近なものとして活用していくと便利だと思う。

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知っ得情報! その1ー認知症

高齢者の約三割が認知症になっているという。
今回はお知り合いの方から聞いた話。

Aさんのお母さんはお医者さんから認知症と判断されたが、成年後見人をまだ
選任していない。お母さんは近くのお店で高額な洋服をたくさん買ってくると
いう。買ったものを着るわけでもなく、包装されたままの洋服がいくつもある。
Aさんはもったいないと思い、そのお店に包装したままの洋服を持って行き、
返品したいと申し出たそうだ。

「何か月も前の物は返品を受けることができない」との返答。Aさんは続けて
「今度、母が来ても服を売らないでください」と頼んだ。
「お客様が売って欲しいとご希望されているのにお断りはできません」
この場合、お店の人に「売るな」という強制力はないそうだ。

ここで、知っ得情報!
「お店の人に母が認知症であることをしっかり伝えておくこと」
そうすれば、お店の人は認知症であることを知りながら売ったことになるから、
Aさんは売買契約を取り消して代金の返金請求できる。また、認知症であることを
知ってお店の人が過量販売(テレビ5台や掃除機10台など日常生活の適量超えて
売りつけること)したら消費者契約法の改正で取り消しできるようになるそうだ。

Aさんはお母さんの立ち寄りそうなところに認知症であることを伝えておけば、高額
商品が買ったままにならずに返品できるし、お母さんが道に迷ったときでも知らせて
もらえる。これから認知症の方には地域の人が情報共有してみんなで見守っていく
ことが大事になると思う。

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